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テキストで直接読める「防災だより」

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2023年6月号
 2023年6月号の音声読み上げができます。
 今!話題の新海誠監督。
防災三部作品のひとつ『君の名は。』から防災の学びを探します。
東京に暮らす男子高校生・立花瀧(たちばな たき)と、飛騨地方の糸守町に住む女子高生で宮水神社の巫女を務める宮水三葉(みやみず みつは)との、世にも不思議な心の入れ替わりが巻き起こす思春期ならではのコミカルで甘酸っぱい青春模様と、ふたりを待ち受ける思いも寄らぬ運命の顛末を美しい映像とRADWIMPSの心地よい音楽と共に綴るパラレルワールドな物語。
 究極の災害想定であることは間違いない『隕石落下』。
一般市民が行う防災という構えの中で隕石落下の想定はない。
そこをあえて、この想定からスタートされたことは意味がある。
東日本大震災、あの大津波は隕石落下に相当するくらいの想定を超えた事実。
しかし、過去の教訓から鑑みると和歌山県広川町の『稲村の火』にもある大津波の史実。
長い年月で喉元を過ぎた人間の記憶や教訓には引き継がれていない。
なので『隕石落下』は特段史実に反するものではないとも考えられる。
だが『構えようがない』隕石落下を前に何をすれば良いのか?過去にその質問に答えたことがあります。
「大きなキャッチャーミットを作り、キャッチしよう」と本気で答えたが「馬鹿にするな!」と叱られました。
でも市民ができもしない想定への備えは、ただの怯えにしかならないのです。
市民防災・地域防災は『自分のできることを自分のできる範囲でやる』これが基本。
だから『君の名は。』から伝えたいことは、災害の規模や災害因の特定ではなく『自分の大切なモノを定義せよ!』ということなのです。
ただし、本当に隕石落下情報を知ったなら迷わず避難する心は忘れないで!  物語はパラレルワールド的だが、いわゆる『1日前プロジェクト』と似ています。
もし災害が明日襲ってくると知った場合、自分はどう行動するのか?ということです。
台風なら、来るぞ来るぞで来たぁ!となる。
でも地震は数日前からの事前の告知はない。
もし大地震が起こると知っていたら?「戻れるならあの日のあの時間まで」と考える人は多いはずだ。
しかし戻ることは実際には不可能なこと。
でも「あの日のあの時間まで戻れたら何をしたのか?」を考えてみることはできる。
それが次の災害への備え・構えになります。
災害だけではなく人生において『あの日のあの時間まで戻れたら、あなたならどうする?』。
それを想定し、大切な人に『伝える手法を身につけること』が重要なのです。
それは『説得力』。
映画の中でも、これが問われる瞬間が何度も現れます。
映画では『伝える難しさ』を強く表現されています。
他者に何かを伝えたい!ところが、人は100%伝えたつもりでも、相手には30%しか伝えられていないともいわれています。
『言語・聴覚・視覚』これらを駆使して相手に伝える必要があります。
自分が経験したモノでさえ伝える難しさがあります。
これは「7-38-55ルール」メラビアンの法則で証明されています。
伝えることのできる割合は、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%。
人間は他人とコミュニケーションをとる際、言語・聴覚・視覚の3つの情報から相手を判断していると仮定されています。
特にスムーズにコミュニケーションをとるには、言語・聴覚・視覚のすべてが表す内容に矛盾がなく、バランスが取れていることが必要です。
しかし感情的なメッセージを伝える時、声のトーンやジェスチャーが伝えたいことと一致していなければ、相手に大きな誤解をされてしまう可能性もあるのです。
 様々なキーワードが作品の中に現れます。
そのひとつに『説得』。
これは防災活動で重要なことで、多くの場面で他者を説得しなければならない状況があります。
必要性を感じた時に、何故それが必要なのかをプレゼンする場面での『説得力のスキル』が必要。
その為に知識と熱意を身に付けることが大切です。
また『説得』の先には、相手の『納得』が必要であり、納得いただいた相手を、更には『行動』へと一歩踏み出す勇気も相手に伝えなければなりません。
そこには、自分の強い熱意とそれらを補う知識の伝達が必要です。
その瞬間のために『常に学ぶ精神』は忘れるなということです。
では『学び』を得るためには、どうすれば良いのか?それの秘訣は『人を信じて、頭を下げて、笑顔でいること』これにつきるのです。
さて、町民の避難行動に対して、町長をどうやって説得したのか、描かれていない重要な隠された事があります。
『三葉なら説得できたのか?俺じゃダメなのか?』から推察すると説得力の違いです。
説得力にプラスされる信頼関係があるのではないかと推測されます。
説得力と熱意と信頼関係。
それぞれが合わさることで町長や町民を避難行動へと誘えたのでしょう。
 この作品を通して『防災とは何か?』を、あなたの大切な人と語り合ってみませんか。
そのアイテムに『君の名は。』を利用してみましょう。
きっと大切なモノが見えてきます。
次回も「君の名は。」の続き・・・