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テキストで直接読める「防災だより」

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2023年11月号
 2023年11月号の音声読み上げができます。
今回も新海誠監督『すずめの戸締まり』から防災の学びを一緒に探しましょう。
多くの人は地震災害の原因(災害因)である『ミミズ』(作中表現)が見えていない。
いや、見ようとせず目を背けている人が多いようです。
防災は、どこかの誰かがやるものであり、日々忙しい自分には無理なことだと勘違いをしています。
確かに、誰もが日々精一杯生きています。
にもかかわらず、来るか来ないか判らない地震の為に大切な時間を割くことはできないと思う人が多いようです。
それは防災を『災害の為にやろうとする』から、そう考えてしまうのです。
そうすると、どこかで壁にぶち当たり、なぜ私がやらなければならないのか?と大きな疑問の壁にぶつかります。
ところが目的が『災害の為』ではなく『自分の大切な人の為』と考え方を変えた途端に、疑問の壁は見えなくなります。
自分の大切な『目的・目標・夢・希望・宝物』の為に防災をやろうと思考転換すれば、面白いようにアイデアが浮かぶ。
そのアイデアには、多くの人が興味を持ち集まります。
人が集まれば、大きな知恵袋ができ、自分では気付かなかったことが、湯水の如く湧き上がるのです。
これが自分事となった瞬間です。
それを『+-✕÷』で答えを導き、『近似値≒』を算出。
この『近似値≒』こそが『お互い様』という答えなのです。
『お互い様』という答えは、誰かが考えたものではなく、自分を含めたみんなで知恵を出し考えぬいたモノなので、その先にある大切な『共助』という答えに繋がります。
災害因の『ミミズ』が出てくるのは廃墟の扉「後ろ戸」ですが、現在の東京は廃墟ではないように見えます。
監督の真意は判りませんが、広辞苑で「廃墟」を調べると「建物・城郭・市街などのあれはてた跡」。
東京そのものを廃墟と表現しているのか、廃墟=コミュニティが薄いと考えるのか?ならば地方の田舎がコミュニティ力が高く、大都会の東京がコミュニティ力が薄い。
本当にそうでしょうか?どうもそのようには思いません。
東京も地方も同じであり、日本という小さな島国で北から南まで、たいして変わらないように感じています。
『防災』ひとつを見ても、やる人はやる、やらない人はやらない。
どこも同じです。
そう考えれば、廃墟とは何でしょう?ひょっとすると廃墟とは『人が興味を持たなくなった場所』とも考えられます。
多分その次に続く言葉は『見て見ぬ振りをする場所』なのかも知れません。
これなら全国に、いや自分の周りにも山ほどありそうです。
現在「声をかけるのも怖い時代」といわれています。
でも、声のかけ方を工夫すれば良いのではないでしょうか。
やはり見て見ぬ振りをしないまちづくりが、今問われていると考えられます。
地球のエネルギーを言葉に表現するのは難しい。
そこで新海監督はこう表現しました。
「ミミズは日本列島の下をうごめく巨大な力だ。
目的も意志もなく、歪みが溜まれば噴き出し、ただ暴れ、土地を揺るがす」 目的も意志もなく、歪みが溜まれば暴れて起こるのが災害。
その災害を引き起こすのはやはり『災害因』です。
その災害因により、備えや守りは大きく変わります。
地震・風水害・火災等、それぞれに合わせた防災活動を考える必要があります。
にもかかわらず、やれ避難場所へ避難だとか、安否確認だとか。
どこか他人事なのです。
もっと自分事と考えて備えの必要性を見直せば、自分のやるべきことが見えるはずです。
他の地域や他の人の防災活動を見て真似るのも良いことですが、『それは本当に自分事となるのか?』を判断する力も必要となります。
真似るのは「学びの途中」。
学びがひと区切りすれば、自分で必要か不要を判断しましょう。
これは真似ることの否定ではありません。
真似ることは大切なことです。
真似てみて自分のモノに消化して栄養とし、必要なモノを記憶していくことです。
ただし、一度「不要」と思ったものが必要になるときがあります。
記憶の引き出しに大切に保存しましょう。
『防災』は何かに導かれて先に進む。
そんな気がする時があります。
自分の意志ではなく、何かに後押しされる感覚。
言葉にすれば『防災を防災と語らずとも防災の役割を果たすこと』です。
誰かに「防災しろ、備えろ、守れ」とは言われなくても、気が付けば『防災』を担っている。
作中の『ダイジン』がそれだ。
猫のダイジンを主人公が追いかけ、宮崎県から岩手県まで駆け上がる。
でも、本当の目的は猫ではなく、地震災害の元凶であるミミズ。
ミミズを封じ込める為に後戸を閉じる。
これがそれぞれのステージのボスであり、そして最後にラスボスを迎える。
ところが災害を止める目的となれば、どうしてもモチベーションが続かない。
「何の為に?なぜ私が?」。
大切な行動だと判っていても心の迷路に陥ってしまう。
そこでちょっと不思議(興味)で好きなモノを追うという心の向きに変換することで『継続力』が生まれます。
その心理を旨く描いた『防災のカタチ』を学ばせて頂いたと作品には感謝です。
続く